こんにちは、帰国子女のまゆうです!
国際バカロレア(IB)を取っている人の中には、TOK(Theory of Knowledge)に苦しめられている人が多いのではないでしょうか?
TOKはIB独自の科目のため、「いい点数を取ろうにもまずTOKがなんなのかすら分からない」という人もたくさんいると思います。
前回の記事では、「TOKという科目は一体なんなのか」ということについて書きました。

私もTOKにとっても苦しめられましたが、がむしゃらに課題に取り組み、なんと最高評価であるAを取ることができました。
TOKはA,B,C,D,Eで評価され、Aを取れる人は一握りで、ほとんどがB,Cであるそうです。
私自身何が正解か分からず、がむしゃらにやっていたのですが、Aを取れたことで「ああ、間違ってなかったんだな」と思えました。
この記事ではTOK essayの取り組み方について書きます。Presentationについては、次の記事で取り上げたいと思います。
この記事を読むことで、
- TOKのEssayの取り組み方が分かる
- A評価のEssayがどんなものか分かる
- A取得者によるアドバイスや注意点が分かる
ことができます!!
では、さっそく行きましょう!
。。と言いたいところですが、私自身が11年生のとき、TOKと最終スコアの関係がわかっていなかったので、その説明もしようと思います。
そして、12年生のTOKの課題のスケジュールについてもご紹介しようと思います。あくまで私の学校の場合ですが、ご参考になれば幸いです。
もうわかってるよ!っていう方は、お手数ですが目次からTOKのEssayの取り組み方まで飛んでください。
TOKと最終スコアの関係
まずは、TOKがどのように最終スコアに関係してくるかを説明します。
TOKとExtended Essayは、通常の7教科に加えて取り組む必要のある課題です。
これらに取り組まないと、IBの資格が取れないということになります。
前述したように、TOKはA,B,C,D,Eの5段階で評価されます。
そして、Extended EssayもA,B,C,D,Eの5段階で評価され、それぞれの成績で最終スコアの点数が決まります。
Eを取ってしまうとIBの資格が取れません。Eを取るのはPlagiarism(websiteから全てコピペするなど)などの不正行為をした場合など、滅多なことがない限り起こりえません。
TOK,Extended Essay両方A→3点
両方B→2点、
片方B、片方C→1点
といった具合です。
TOKとExtended Essayでもらえる最大の点数は3点です。
3点ってしょぼいな、って思うんですけどEを取ってしまったらIB資格がなくなり2年の努力が水の泡になってしまうのでみんな真剣に取り組みます笑
TOKは直接最終スコアに影響する科目であることがわかったと思います。
では、TOKはどのような試験・課題に基づいて評価されるのでしょうか。
TOKの課題
私の学校でのスケジュール
TOKで評価の対象になる課題は2つ、essayとpresentationです。
学校によって違ってくると思うので、私の学校の場合はこうだったというご紹介になります。今年はコロナでスケジュールも例年通りに行かないことの方が多いと思います。。
私の学校ではessayは12年生になるあたりで書き始め、2,3ヶ月で完成させます。
時期は学校によって違うようです。
essayが終わったかと思えば、すぐにpresentationの作成に入り、これもまた2ヶ月ほど準備期間があり、クラスの前で発表しました。
これでTOKとはおさらばできますが、すぐに5月の最終試験の勉強に取り組む必要があるので気が抜けるという訳ではありません。。
2年間TOKを学びますが、実際は11年生でTOKのシラバスをカバーし、12年生ではなにも新しいことを学びません。
11年生で習った知識を元に、essayとpresentationを完成させる1年になります。
これは知っておくべきだと思ったので説明させていただきました!お付き合いいただきありがとうございました!
いよいよ本題のessayの取り組み方に参ります!
TOKのEssayとは
TOKのEssayでは、IBから発表されるお題に対してessayを完成させる必要があります。
お題は5つ発表され、この中から1つ自分の好きなお題を選びます。
他の科目の課題でもそうですが、選択肢がいくつか与えられるのがIBのいいところですよね!自分の書きやすいトピックを選ぶことができます。
調べれば過去に出たお題をいくらでも遡れますので、気になる方は調べてみてください!
こう言うと簡単に聞こえるのですが、お題自体が哲学的なので、答えるのはなかなか難しいです。。
私はストレスで頭がおかしくなりかけましたので笑
TOK Essayの取り組み方 全体像
まとめるとこんな感じになります。
①お題を決める
IBから出されるお題5つの中から、自分の答えたいお題を選びます。
②お題にあるキーワードを定義する
自分なりのDefinitionを読者に示す必要があります。これは先生からも強調されたので重要だと思います。
③自分の意見を決める
自分はお題に賛成か反対かを決めて、それを読者に納得させる根拠を考えましょう。
④意見の根拠を説明する上で利用するAOK、WOKを2つ決める
根拠を主張する際に、AOK,WOKを使う必要があります。最低でも2つ使います。
⑤Knowledge questionsを考える
Knowledge questionという概念がTOKには存在します。言葉で説明するのは難しいので、以下で実際に私が作ったKnowledge questionを示しながら説明しようと思います。。
TOK Essayの取り組み方 具体例
次に、私がどうやってAレベルのEssayを完成させたか、かなり詳しく書いていこうと思います。ステップバイステップで行きます!
①お題を決める
私は、2019年度の学年でした。”TOK 2019 essay titles”で検索するとお題が出てきます。
この年でIBから発表されたお題の中で私が選んだものは、”Disinterestedness is essential in the pursuit of knowledge”です。
一度読んだだけでは、ちんぷんかんぷんだと思います笑
② キーワードを定義する
essayに取り組む際にまず一番最初にすべきこと、それはキーワードを理解し、定義することです。
このお題のキーワードは”Disinterestedness”ですね。
interest(興味)という単語をdisで否定して、disinterestとなります。
それを名詞にするために語尾に’ness’をつけて、’disinterestedness’という単語が出来上がっています。
ですが、disinterestednessは「無関心」とは異なります。
無関心は”uninterested”です。
disinterestednessとは、「自分の感情や私的な事情に左右されず、ある意味一定の距離を置いて客観的になれること」を指します。
決して、「興味がないこと」ではありません。
つまり、お題の”Disinterestedness is essential in the pursuit of knowledge”の意味は、「客観的であることは知識を探求する上で必要不可欠である」になりますね!
③ 自分の意見を決める
このessayで求められていること、それは、agree/disagree(賛成・反対)という自分の立場を最初に示し、それをessayの中で例を用いながら読み手に納得させることです。
essayを書く最初の一歩として、自分の意見(賛成か、反対か)を決める必要があります。
私は、賛成という立場をとりました。
「客観的であることは知識を探求する上で必要不可欠である」という意見に賛成した、ということです。
ここで重要なのは、「賛成・反対はどちらでも構わない」ということです。
「正解がない」のがTOKなのです。
その意見の根拠をessayの中できちんと論理的に説明できれば、高い評価を得ることができます。
④ 自分の意見の根拠を説明する上で利用するAOK、WOKを2つ決める
TOKはAOK,WOKを根幹になす科目です。
AOK,WOKを中心にessayを展開していく必要があります。これはpresentationにも当てはまります。
前回の記事でも言ったように、AOK,WOKはTOKでとても重要なコンセプトで、TOK=AOKとTOKと言ってもいいくらいです。
AOKを2つ
WOKを2つ
AOK,WOK一つずつ
上記のどれでも構いません!
AOK,WOKの計16個のうち2つを使っていれば問題ないです。
何を選んでいいか分からない!と思うと思いますが、
AOK,WOKを決める前に、essayで何を書きたいか、方向性を決めるといいと思います。
私のessayの方向性としては、
知識を探求する際に、研究者が客観的であることは重要。
↓
なぜなら、研究者が主観的・感情的になっては、視野が狭くなり真実に気づけなかったり、「自分の見たいものを見る」偏見に陥ってしまうかもしれない。
↓
そうなっては知識の追求はできない。
↓
よって、「客観性」は知識の追求に不可欠
というessayの方針を思いつきました。
では、この主張を繰り広げる上で、どのAOK/WOKが適しているでしょうか?
例えば、AOKの”Art”はこのEssayにふさわしくないと思いませんか?
芸術家はむしろ、感情的・主観的である方がよりよい作品を作れそうです。孤独で寂しい気持ちを絵にしたり、希望を絵にしたり、、、
客観的だといい絵は書けなそうですよね笑
そこで私は、「事実」や「真実」により重きを置いているAOKである、Natural Sciences(自然科学)とHistory(歴史)を選びました。
WOKは一つも選びませんでしたが、AOKを2つ使っているので大丈夫です。
自分の意見の根拠となるAOKまたはWOKを選ぶことが重要です。
⑤ 1つめのKnowledge questionsを考える
knowledge questionsは、2-3個必要です。
knowledge questionsは何かというと、essayを書くにあたって自ら作る問いであり、essayではそれに答えていきます。
自ら作る問いとは???と思うと思うのですが、
とにかく自分が主張したいことを質問形式で書けばOKです。
私の一つ目のKnowledge Questionはこちらです。
Why is disinterestedness important in the pursuit of knowledge in history?
「HistoryというAOKの中で、disinterestednessが重要である」と主張したかったので、それを質問にしただけです笑
私は、「客観性」は知識の追求に不可欠という主張をするにあたって、
1.客観性があったおかげで真実を追求できた
2.客観的でなかったせいで真実を追求できなかった
この二つの方向からアプローチしようと考えていました。
まず、1の真実を追求できた例を、Historyで示しました。
中世のころ、歴史はきちんとした歴史的証拠に基づいて研究されず、噂や、昔話なども平気で教科書に乗っていました。
当時の人々の歴史に対する信頼も薄く、「信じたいものを信じるフィクション」のような位置づけにありました。
ですが、「ランケ」という歴史学者が、「歴史はきちんとした事実証拠に基づき、真実を追求するべきだ」と主張し、歴史という学問のあり方を変えました。
ランケのおかげで、歴史は「好き勝手書かれたフィクション」ではなく、「昔の事実を知れる、信頼性の高い学問」へと生まれ変わったのです。
事実証拠に基づく研究によって、歴史が客観的な学問となり、真実が探求できるようになったのです。
つまり、Disinterestedness is essential in the pursuit of knowledgeということですね!
⑥2つめのKnowledge Questionを考える
Historyが終わったので次はNatural Sciencesですね!
1.客観性があったおかげで真実を追求できた
2.客観性を欠いたせいで真実を追求できなかった
2つめの、客観性を欠いたせいで真実を追求できなかった例をNatural Sciencesでなんかないかなぁと考えていたら、世間を騒がせた「スタップ細胞はありますー!」が思い浮かびました笑
新しい細胞を見つけたら、地位も名誉も手に入ります。お金も手に入ります。そのような主観的な「感情」が、客観性を欠いてしまい真実を見落としてしまったのではないかと考えました。
Knowledge Questionは、
How does a lack of disinterestedness hinder the pursuit of knowledge in the natural sciences? 客観性を欠くことによって、知識の探求はどのように妨げられるのか?
です。
小保方さんとその研究チームがスタップ細胞が本当はないという真実を見落とした原因として、客観性を欠いていたのかもしれないと主張しました。
これで終わりです!あとはConclusionでまとめればOKです!
まとめ
長くなりましたが、以上のまとめるとこんな感じになります!
- お題を決める
- お題にあるキーワードを定義する
- 自分の意見を決める
- 意見の根拠を説明する上で利用するAOK、WOKを2つ決める
- Knowledge questionsを考える
最後に
このEssayを書くまでああでもないこうでもないと思考錯誤し、何時間もリサーチしました。。
100時間くらいかけた記憶があります。(存在しない記憶かもしれませんが笑)
TOKは難しくて苦しめられている生徒さんもたくさんいると思いますが、私のEssayが少しでも参考になれば幸いです!